黒人リズム感の秘密 by 七類誠一郎

黒人リズム感の秘密 by 七類誠一郎

最終更新日: 2018/8/8

ソウルミュージック特集、今回はプレイヤーやシンガーを目ざす人たちにおすすめの書籍。

この本に出逢わなければ私は今でもソウルやR&Bをカッコよく唄うことなんて夢のまた夢だと思っていたかもしれない、そんな本。

黒人リズム感の秘密 by 七類誠一郎

 

この「黒人リズム感の秘密」は、ソウルミュージックをやる人にとって非常に大切な「リズム感」とその習得法が書いてあるたいへん貴重な本。

オススメというレベルを超えて、むしろ絶対に読んでほしい。笑

 

著者:七類誠一郎 aka Tony Tee(トニー・ティー)

この本を書かれた七類誠一郎さんはTony Tee(トニー・ティー)の名前でアメリカで活躍した日本人ダンサー。

実はすでに亡くなられているが、マドンナやマイケル・ジャクソンのバックダンサーや振りつけもしたことがあるようなすごい方で、ダンス界では知らない人はいないカリスマ的存在。

 

この本には黒人音楽とそのリズム感について非常に大切な2つのことが書かれている。

・内容1:黒人独特のリズム感は黒人だけのものか?

・内容2:黒人リズム感の具体的な習得方法はあるか?

内容1:黒人独特のリズム感は黒人だけのものか?

黒人のリズム感はあまりにズバ抜けているし独特で、持って生まれた身体能力や骨格が大きく関係しているのは明らか。

だからこそ私たちアジア人には、もはや生まれた時点で習得できない運命なのでは・・・と思いがち。

だがトニー・ティーはそんな固定観念を理論や経験にもとづいて吹き飛ばしてくれる。

もちろん黒人ではない限り「まったく同じところには到達できない」と敬意を払ったうえで後天的に身につけられるものもあるという。

 

トニー・ティーはその考えに基づいて自ら鍛錬し実際に黒人にも認められたわけで、そんな彼の言葉はとても心強い。

「私たち日本人(アジア人)にもできる」という感覚はめちゃくちゃ大切だ。

というのは精神的な障害というのは、じつは最も大きな壁なのだ。

この思い込みを外せなければ、どれだけテクニックを学んでも頭で「そうはいってもムリだ」と成長を制御してしまいゴールに到達することができなくなる。

だからまずはこの壁をしっかり取っ払うことが、その後の鍛錬継続においても大切なモチベーションの源となっていくことをしっかりと認識してほしい。

 

内容2:黒人リズム感の具体的な習得方法はあるか?

この本のもう一つの魅力。

それは黒人リズム感を習得するためのリズムの感じ方やエクササイズの具体的な方法をしっかり説明してくれているところ。

しかもプロのダンサーでなくてもできるようなとても簡単なものばかり。

 

エクササイズは「インターロック」というもの。

インターロックで黒人リズム感に近づく

ブラックミュージックをやる人だけでなく、一般的なロックやポップス、ジャズにも通じる。

黒人音楽が現代音楽に大きな影響を及ぼしていることを考えれば、それは自然なことだ。

そしてダンスをやる人だけでなく、あらゆる楽器そしてボーカリストにも通じる。

ダンスの源が「リズムに合わせて動くこと」であるから、これも当然のこととも言える。

 

さらにこのインターロック、健康にもダイエットにも良くて、お年寄りや子供にも推奨できるという。

ここまできたら、もうやらないわけにはいかない。

 

しかし何よりもまずこの本をじっくりしっかり読んでこの動きの根拠や仕組みをぜひ知ってほしい。

なぜインターロックが必要なのかを知ることがその後の継続モチベーションに大きく影響する。

ボイトレと同じで、リズム感は結局は筋トレである。つまり訓練を継続できなければ体得できない。

継続のためには、心から納得していることは思っている以上に大切なのだ。

 

ここでもう1つ、この本の凄いところ。

ダンサーであるトニー・ティーがめちゃくちゃ理路整然と体系的に情報をまとめてくれているという点。

ダンサーだからといってノリとか勢い任せとかいうことが全然ない。(彼の生い立ちにはそういうノリは十分あるが)

学術的に研究した結果を数値やグラフを交えてしっかり説明してくれている。

というのは七類誠一郎さん(A.K.A Tony Teeトニー・ティー)は広島大学教育学部卒&東京学芸大学大学院の運動学修了というスゴい経歴の持ち主。

つまりただのダンサーではなく、リズム感を学問として学びそれを教えることも学んできたという稀有な方なのである。

 

だからこの本を読むと、とにかく腑に落ちる。

色んなことが色んな側面で目からウロコがポロポロ落ちる。

 

そもそも黒人にとってリズムというのは日常だし、生まれたときから生活の中に色濃く存在するもの。

そんな黒人たちのダンスや歌を見ていたら「ほへー」とあんぐり口があいて「すげー」となってフリーズ。

これがアジア人しいては日本人としてのごく普通の反応である。

あまりに異次元すぎて、何回見てもどんなに見てもどういう仕組みかなんて説明できるようにはなれる気がしない。

※正確にいうと死ぬほど見たら少しは説明できるようになるが、どうやったらできるようになるかはサッパリわからない。

 

その謎と仕組みをどんどん紐解いてくれるのがこの本なのだ。

この感動を味わってこそ推奨されているインターロックやってみようという気が起きる。

当然インターロックについても「なぜこの動きが良いのか?」という説明をしっかりしてくれているから入っていきやすい。

 

ちなみにリズム感を鍛えたいなら身体を動かすことは必須。

頭でリズムを数えることと身体で感じられることはまったく別。そして「リズム感」とは後者を指す。

 

そうやって十分に納得したら、インターロックの動きをどんどん実行していく。

 

ここでインターロックにある2つの欠点を紹介する。

・欠点1:インターロックは単純な動きで、やや飽きやすい

・欠点2:インターロックでは普段使わない筋肉を鍛えるため、完成までやや時間がかかる

この2つの欠点を踏まえて下記2点をインターロック実践のポイントとしてぜひ知っておいてもらえると継続しやすいのではと思う。

・実践ポイント1:インターロックは好きな音楽でやる

・実践ポイント2:インターロックは日常の動きに足す

インターロックは好きな音楽でやる

インターロックは動きが単純で種類が多岐にわたる。

区別もつきにくいし、こんな単純作業を毎日コツコツやっていくことはけっこう至難の業だ。

これを防ぐにはインターロックを動きを好きな音楽の中でやっていくこと。

そもそも黒人リズム感を手に入れたいと思ったような人なら、R&Bやヒップホップのノリのいいお気に入りソングがたくさんあるハズだ。

そういうお気に入りの音の中でインターロックを積み重ねれば、飽きることはない上に、自分なりにアレンジしながら楽しくリズム感を鍛えることができる。

種類を組み合わせていくことで自然と振り付けのようになり、より楽しんで実践することができる。

 

インターロックは日常の動きに足す

インターロックで鍛えるコアな筋肉は、ふだん使うことが少ないものだ。

だからこそ鍛えると大きな変化を感じられるが、完成までにはやや時間がかかるのは致し方ない。

 

対策としてはできるだけ日常に取り込んでいくこと。

上で紹介したようにインターロックは好きな音楽の中で実行するのがよい。

だから好きな音楽を聴く時間を増やせば単純にインターロックできる時間も増える。

 

そのうえ歩いているときや移動中も音楽を聴きながらイメージしてみることをオススメする。

人の目があるし大きな動きができないことは仕方ない。

が、聴いている音楽にノっている感じで小さく動くことはできる。

ポイントはその環境を逆手にとって極力小さく動いてみることだ。

力がより内へと向かうため動きの芯を捉えやすくなる。

表面的にほとんど動いていないように見えてもコアにだけ力が入っているのでインターロックで鍛えたい筋肉を刺激することはできる。

 

以上2点のポイントを踏まえて実践していけば、継続もしやすくなるだろう。

ちなみに本書の中ではインターロックをどれぐらにの頻度でどれぐらいの期間つづけるとマスターできるかも書かれているので、それを目安に計画を立ててみるのがいい。

 

このようにインターロックをつかってコアを鍛錬していくうちに、音楽を聞くときにリズムを感じる体の部位がだんだん変わってくる。

感覚的な説明になるが、表面から内側へと移動していく感じだ。

ただリズムをなぞっていた自分の体の中核部分に「芯」のようなものができてくるのだ。

そうなったらこっちのものだ。

あとはもう好きなだけリズムの虜になっていけばいい。

日々音楽に合わせてリズムをとることや楽しく踊ることそのものがインターロックの動きと調和していく。

それぐらいインターロックは黒人リズム感の体得に直結するのだ。

なお「黒人リズム感の秘密」改訂版にはインターロック応用編が追加されている。

インターロックに飽きたり物足りなくなった人はそちらも活用してどんどんレベルアップさせていくことができる。

 

といった感じで実体験にもとづく理論から入り実践までビッシリと学べるこの「黒人リズム感の秘密」。

今となってはTony Teeのように踊れるダンサーはたくさんいるかもしれないが、それをこんなに分かりやすく書籍にしてくれる人はもう出てこないと思う。

それぐらい唯一無二の存在であり、素晴らしい本なのだ。

 

ちなみに私が読んだのはこっちの古い表紙。

 

懐かしい。

迫力ありすぎて、最初は買うのためらった。

ダンサーの書いた本。一体何が書いてあるんだろうと半信半疑だった。笑

 

だが思い切って買って良かった。

「黒人のようにカッコよく歌いたい」という自分の夢が叶うかもしれないと夢中で読んだ日の感動は今でも忘れられない。

 

今やどこでも在庫切れ。

古本もプレミアついてしまい、えらい高くしか売ってないのが残念でならない。

どなたか再版してください。大切な本を沢山の人に読んでもらいたいです。

 

まとめ:「黒人リズム感の秘密」を知って本物のリズム感を体得。

インターネットのおかげで今となっては子供のころから洋楽に触れることが簡単になった。

ひと昔ふた昔前とはちがって若い人たちの中には「グルーヴ」を自然と体が覚えているという人も増えている。

人気グループの貢献もあってか、ダンスもここ10年でずいぶんと市民権を得た。

 

だがそれでも日本人はまだまだリズムが苦手だ。

言語や文化の特性からいっても、あまりリズムが得意な人種ではないのだ。

だから「日本人には限界がある」と線を引いてしまい、どこから始めればいいか分からず悩んでいる人も多いだろう。

この本は、そんな人に、ぜひオススメしたい一冊だ。

 

最後に「黒人みたいなリズム感を身につけたい」と思った時点で自分にもマスターできるということを知ってほしい。

人はできることしか望まないし、実際にマスターしている人は本当にたくさんいる。

 

私もスタートしたころと比べると雲泥の差だ。

完成形などと呼ぶのは恐れ多いが、コツや方向性については完全に体得しているとう自負がある。

だから興味のある人は、どうか諦めずに続けてほしい。

この本を読んで、やる気アップで楽しく進んでほしい。

 

ということで今回のソウルミュージック特集はソウルシンガー、ソウルプレイヤーの必読書「黒人リズム感の秘密」を紹介した。

ソウルミュージックのみならず、音楽が好きな人、カッコいい黒人のリズムに興味がある人、カラオケでソウルやR&Bの曲をカッコよく歌いこなしたい人などにもオススメの一冊。

 

参考図書「日本人のためのリズム感トレーニング理論」

今回紹介した「黒人リズム感の秘密」を検索すると、必ず一緒に出てくる本がある。

それがこの「日本人のためのリズム感トレーニング理論」。

 

実はこの本に「黒人リズム感の秘密」が参考文献として登場するらしい。

どうりで表紙のテイストが似ていると思った。(似てない?)

Kindleで試し読みしたところ、こちらの本は黒人だけにとどまらず、より広義にリズム感の本質にせまり解説してくれている様子。

ソウルミュージックに限らずリズムについてより一般的な知識を得たい、そして訓練したいという方はこちらも良いのかもしれない。

 

注意:「黒人」という表現について

「黒人」という表現は差別的であるという理由から、現代においては「アフリカ系アメリカ人」という呼び方が一般的になっている。

したがって本来「黒人」という表現は不適切とも言える。

ただしこの本が発売された当時はまだそういった動きがなく「黒人」という呼び方が一般的だった。

加えて著者に差別的な思惑はなく愛と尊敬をもって「黒人」という表現を使っている。

並びにこの記事を書いた本人もまたアフリカ系アメリカ人に限りない愛と尊敬を持つ人間である。

以上のことから、この記事ではアフリカ系アメリカ人への愛と尊敬をこめて「黒人」という表現を通して使っていることをご了解いただきたい。