FOR YOU / 山下達郎

FOR YOU / 山下達郎

1982年、山下達郎さんがRCAレコードから出した最後のアルバム。

今聴いてもなお新しくキラキラしたザ・山下達郎サウンドに終始魅了される。

FOR YOU 山下達郎

リマスターのライナーノーツ

2002年発売のリマスター盤にはなんとご本人の貴重なライナーノーツが寄せられている。

家で聴くレコードからカーステレオで聴くカセットへと音楽が進化した当時の時代性にこのアルバムが見事にマッチ。

どこからともなく「夏だ、海だ、タツローだ!」というキャッチフレーズまで生まれ、達郎さんはたちまち「アウトドアの人」になったのだという。

バブルを彷彿とさせるきらびやかでゴージャスなサウンドの中に、達郎さんの緻密で繊細な音作りの信念がかいま見える。

達郎さんにとっても初めて時間や予算を気にせずレコーディングに没頭できた夢のようなアルバムだったんだそう。

あらゆる面で熱量の高い、ある意味、できるべくしてできた傑作アルバムだったということになる。

そしてもちろん大ヒット。

文字通りの名盤。

とにかく、まったく色褪せない絶対的な音の良さとバリエーション豊かなサウンドには何度聴いても驚かずにはいられない。

幼いころから慣れ親しんだ山下達郎さんの素晴らしい音楽。

今や少しは音楽に詳しくなり若かりしころの達郎さんがどんな音楽を聴いてきたのかも少し垣間見えるようになった。

なんて思いながら結局、どの曲にもただ感動している自分がいる。

 

だがなんといっても、なんといっても。

このアルバムの醍醐味は、この始まりの曲SPARKLEであろう。

奇跡のギターが導いたSPARKLE

SPARKLEを作ったころ、達郎さんはある素晴らしいギターに出会う。

使い始めてすぐに痛く気に入り、結局その後何年も愛用することになる、運命のギター。

SPARKLEはそんなギターの最高の音を引き出すために作られたこれまた運命の一曲なのだそう。

 

ちなみに私はラジオから流れてきたギターイントロにひと聴き惚れし、その日のうちにアルバムを購入した。

それほどまでにこのギターのフレーズには人々の心を魅了する何かがある。

 

そして、何かが始まる予感。

この曲は希望にあふれた輝かしい未来を思わせてくれる。

それから夏。キラキラとした海や太陽がまるでそこにあるように目に浮かぶ。

アルバムの始まりにふさわしいワクワク、ドキドキが止まらない素晴らしい一曲。

金太郎アルバム

このアルバムが本当の凄さは、2曲目以降に捨て曲がないところにある。

上に書いたようにSPARKLEはエネルギーに満ちた最高の一曲なのだ。

だからこれだけでかなりお腹いっぱいなほど感動してるのだ。

 

だとしたらこれは「出オチ」状態となり、その後の曲のクオリティがよっぽどでなければ見劣りしてしまう可能性がある。

なのにそんなことを感じさせることが一切ない。

2曲目、3曲目と進んでも進んでもまったく飽きることがなくスイスイ聴けてしまう。

見劣りしないようにめちゃくちゃ趣向を凝らしているということでもない。

逆にアレコレ計算して無難に作られているわけでもない。

 

もちろんそれこそが名盤たるゆえんだが、聴くほどにそのことを痛感するのだ。

SPARKLEが最高だと思って始まったのに、次もいいのかよ。その次もこんなにいいのかよ。

そんな感じで感動が止まらないうちに一気に最後まで聴けてしまうのがこのアルバムなのだ。

まさにどこを切ってもおいしい金太郎アルバム。

 

夏じゃなくても、海だ、タツローだ!

声を大にしてそう言いたい。

 

みんなで一緒に、これ聴いて海いこう。(結局夏)