音楽を奏でるすべての人へ、お手本にしたい1枚。
ライブ! by ダニー・ハサウェイ
ライブって、こういうこと。
ただそれだけ。
ソウルミュージックを語るうえで、絶対に絶対に、避けて通れない1枚。
それが私が誰より尊敬するダニー・ハサウェイの「ライブ!」。
このうえない臨場感でライブを体験できる
このアルバムを、ぜひ目を閉じて、聴いてみてほしい。
なんだろうね、この立体感のある空気。完全に会場にトリップする。
ステージと観客。その一体感を外から感じるのではなく、完全に真ん中に入っていくことができる奥行きがあって。
盛り上がるお客さんたちと一緒に、今、このライブを体感しているとした思えない気持ちになる。
手をたたき、身体を揺らさずにはいられない。胸を高鳴らせ、一緒に声を上げずにいられない。
ソウルってこういうことだ。
このアルバムを聴くといつも、そう思います。
生きる喜びと、悲しみ。音楽をシェアできる幸せ。
そんなソウルをこれほどまでに一気に感じられるアルバムは、他にない。
そんな素晴らしいことを教えてくれたダニーとダニーの音楽に、今も感謝せずにはいられない。
名アーティストが愛してやまない名盤
アリシア・キーズがデビューして数年のころ、そのころはもうシリーズが終わっていたMTVアンプラグドを復活させてライブをおこなった。
小さな会場で、生の楽器で構成されたバンドとともに、とてつもなく素晴らしいライブをやりとげ、それも今でも伝説のひとつとなり、DVDやアルバムになって発売されている。
そのときのインタビューで「おおいに参考にした」と言っていたのが、このダニーの「ライブ!」。
アリシアは他にも、911テロの後にミュージシャンが集まって発売したチャリティDVDでも、ダニーの「Someday We’ll All Be Free」を歌っていて、同じ「ピアノ弾き語り」スタイルのソウル・R&Bシンガーとしても、彼女のダニーへの愛やリスペクトは相当だと思われる。
その他、「美女と野獣」や「ラ・ラ・ランド」でおなじみジョン・レジェンドも、ザ・ルーツとともに制作したカバーアルバムでダニーの「Little Ghetto Boy」をカバーしている。
私はLittle Ghetto Boyが大好きだったからすごく嬉しかったし、ジョンとルーツの力によってソウルフルながらヒップホップな響きに生まれ変わったLittle Ghetto Boyも新鮮で素晴らしいと思った。
何度も体験してソウルを理解した
このアルバムを聴いて、ソウル・ミュージックって何なのか、理屈でなく身体で理解できたなと思う。
これを知ったころ、本当に毎晩のようにこれをただ聴いてぼーっとして。笑
1ヶ月ぐらいそんなことをしていた気がする。
何回聴いてもまた、味わいたくなるんだよね。あの感動を。
そして彼のソウルを、ライブを、そして音楽を。深く深く、身体に刻み込んだという感じがしている。
そしてこの力強く繊細な声に、生きることを許される。
ライブで悩んだとき、いつでも、いつまでも、ここに答えがある。
大切なのは愛であり、お客さんであり、そして音楽である。
あぁー、あなたが好き。(いきなり)
ダニーはもうこの世にいないけど、彼の音楽は、永遠にこの世に「ライブ」を届け続ける。