ソウルミュージックやR&B歴史の勉強に使える本やDVDたち。

ソウルミュージックやR&B歴史の勉強に使える本やDVDたち。

ソウルミュージックやR&Bの歴史についてくわしく知りたい人に、関連本・DVDのご案内。

ネットで調べるのもお手軽だし、まず大枠をつかむにはいいと思います。

とはいいつつ最近はネットも情報量がおおすぎて何から手をつけていいやら・・・という感じもありますが。

 

やっぱり、しっかりと情報を定着させていきたいなら本でじっくり深く学ぶのがおすすめです。

また、じっさいに音楽を聴きながら学べるのはドキュメンタリーや映画などの映像資料。

音楽のことを本で学んでも、聴かないと意味がないわけで、本で学ぶと自分で別途、CDや音源は聴くことになります。

とにかく色々知りたいけど何から読んだら&学んだらいいか分からないというかた、ぜひご参照ください。

 

書籍・ソウル編

 

まずは初級の2冊。

魂(ソウル)のゆくえ

ピーター・バカラン氏はラジオDJで、洋楽全般についてとても詳しい方です。

ビートルズとかロックに詳しい人という印象があって、とくにソウル・ミュージックオタクという感じがあまりないですが。

ソウル・ミュージックにもたいへん造詣が深いようで、音楽全般、大好きなのでしょうね。

こんな優しい導入本を書いてくれています。

 

とにかくざっくりソウル・ミュージックってどんな人がいて、どんな流れで生まれたのか?

みたいな概要を知りたいという人におすすめです。

 

ブラック・ミュージック入門

こちらも入門書ですが、ピーター・バラカン氏のものと、すこしまとめ方が違います。

複数のかたが書いていることもあり、流れがわかるというよりは、それぞれのトピックについて区切りながら一つ一つを説明していってくれている感じです。

 

ただし、上の2冊のどちらにも言えることですが、内容がうすいぶん、次々とアーティスト名が出てきます。

絶対に一回読んだだけでは覚えきれないです。

もし気合い満点というなら、でてくる名前ごとにYouTubeやiTunesで音楽を聴きながら、ジリジリと読みすすめるといいと思います。

ですが、その前に、その情報の多さにまいってしまったりしますよね。

それにそういったやり方で最後まで読み通すのはかなりの気力が必要になります。

だからまずは「ふーーーーーん」とかるく目を通しておく気持ちでいいと思います。

その前提で、どうしても気になる!と思えるものを少なめに選んで聴いてみる。

または、気になったアーティストのドキュメンタリー映像やインタビューなどを探してみる。

そしてまた、パラパラとめくってみる。

そんな感じで、あまり一気にやろうとせず、あくまで少しずつ定着させていくことがおすすめです。

続かなければ、意味がないですので。

 

そして、概要をつかんだあとに読んでいくのにおすすめの2冊。

でもここからは、単純に音楽を楽しみたいだけの人にはちょっとヘビーかもしれません。

それでも興味のあるかたはぜひ、参考にしてみてください。

スウィート・ソウル・ミュージック―リズム・アンド・ブルースと南部の自由への夢

正直にいいますと、これはめちゃめちゃ分厚いんですが、めちゃくちゃおもしろいんです。

ソウル・ミュージックというのは、じっさい黒人文化そのものの歴史なんですね。

だからやっぱり本質的にソウル・ミュージックがうまれた意味は、そういう歴史を知らないとわかり得ないです。

そして、ソウルが生まれ、育っていくプロセスには必ずキーとなるシンガーやアーティストがいる。

文字どおりたったひとつのできごとで「歴史がうごく」瞬間というのがある。

情報が氾濫するようになった現代の感覚だとわかりにくいですが、当時はそうやって歴史が作られたわけなんです。

そういった「事件」にもちかい歴史の瞬間をしることこそ、じつはソウル・ミュージックを知る醍醐味でもあると私は思います。

そしてこの本は、そういった人物とそのひとにまつわる物語にフォーカスしながら、歴史をたどっていく本です。

 

もちろん、ここまでは知らなくても、ソウル・ミュージックはただ音楽としてカッコいいんですが。

でもやはりいろいろ知ったうえで聴いたりやったりすると、よりいっそう理解は深まると思います。

ただ、この本は読破するのにとても時間がかかると思うし、開いた瞬間に字が小さくてウッ!ってなります。笑

だから、どうかあまり気合いを入れてすぐに読了しようとは間違っても思わないでください。笑

ベッドサイドに置いて、細かくくぎりながら、少しずつじっくり読みふける。

そんな付きあいかたがいいと思います。

 

とにかく奥ふかくまでソウル・ミュージックをさぐってみたい。

そういう研究気質のあるかたにおすすめします。

物語になっているし、入りこめれば絶対にオモシロイ。

 

リズム&ブルースの死

これをかいたネルソンジョージ氏というのは、とても有名な黒人ジャーナリストです。

というか権威といってもいいかもしれない。

ブラック・ミュージックのライターといえばネルソン・ジョージ。

ライナーノーツもたくさん書いておられて、日本のR&B権威ともいえる松尾潔さんもふかく尊敬してらっしゃる人。

上記ピーター・バカラン氏の「魂(ソウル)のゆくえ」のなかにも名前が登場します。

 

そんなすごい人の書いたものだから、これもけっこう難しいです。

と言いますか、さきほどの「スウィート・ソウル・ミュージック」でも書いたのですが、ソウル・ミュージックの歴史というのは、ほとんど黒人文化の歴史そのものなんですね。

黒人たちがなぜソウルを歌ったのか?

それは生きるために違いなかったんです。

なぜ生きるために音楽が必要だったのか?

そこには黒人が背負わされた奴隷制度という悲しい運命があるんですね。

だからどうしても、音楽をほりさげると音楽じゃない部分をほりさげることになる。

「スウィート・ソウル・ミュージック」がキーになったアーティストにフォーカスしているのに対して、こちらの「リズム&ブルースの死」はもっと客観的に黒人社会およびアメリカのカルチャーや歴史をひろく論じています。

「いやそんなことは良いから・・・」と思わず言いたくなるのですが、じっさい上の入門書を読んでたら逆に「いやいっぱいありすぎて分からないわ・・・」となるじゃないですか。笑

だからやっぱり、こういった背景を深くほりさげる作業というのが、いずれにしても必要なのかなと思います。

 

これってよく考えたら、学校の歴史の授業もおなじことですよね。

歴史上のできごとや人物が次々とでてきて、テスト対策としてはただ覚えればいいわけなんです。

だけど本当の意味で歴史や人物について知りたいと思ったら「なぜ?」という背景をしる必要がある。

なぜ、そんなことが起きたのか?(なぜソウル・ミュージックが生まれたのか?)

なぜ、その人が台頭したのか?(なぜその音楽がヒットしたのか?)

みたいな。

そうやって背景がわかると、なんか文字の羅列だったものがストンと腹おちするわけです。

すこし時間はかかりますが、興味がある部分から入っていけば続きます。

そして完璧にはならなくても、だいたい大まかには必ずつながって整理できます。

 

この本がソウル・ミュージックを勉強するためにわたしが買った最初の本でした。

だから線を引いたりノートに書き写したり、書いてあるアーティストのCDを聴いて、さらにその感想をまとめたりして。

けっこう頑張って読み込みました。

ソウル・ミュージックは現代はひとつのジャンルとして確立されていますが、やはり過去の音楽なんです。

現代の音楽なら、こんなことしなくてもただ流れるように背景とともに受け入れられるのですが。

過去の音楽を知ろうとするなら、やはりタイムスリップするのがおすすめです。

 

この本は、じっさいには「リズム&ブルースという素晴らしい音楽とカルチャーが消えてしまった」という本ですので、最終的にはそういったところにいくんですが。

私としては、ソウルより前のリズム・アンド・ブルースやロックンロールあたりのことを、この本で学んだ印象が大きいです。

市民権運動のあたりも、この本でさいしょに知って、そのあと色んなことで補っていった気がします。

シンガーとして、ミュージシャンとして、コレ知ってて何になると言われると、うまく説明はできないですけどね。

こういうこと知ったうえで黒人音楽とその歴史に心からリスペクトをもって歌っている。

そうとしか言えないですけどね。

私は大切なことだと思ってます。

 

LADY SOUL―ブラック・ビューティ・ミュージック・ガイド

これは初級なんですが、番外編という感じで。

女性ソウルシンガーが、ただただ時代別にどんどん紹介されている本です。

一人またはグループについて1〜2ページで概要と代表作、みたいな名盤集です。

 

ソウル・ミュージックの歴史に名を刻んでいるシンガーって、男性が多いのですね。

そのなか燦然と輝くレディ・ソウルは、もちろんアレサ・フランクリンです。

この事実はだれにも変えられないし、アレサはソウルの歴史をうごかした一人でもあるわけです。

ここに出てくるアレサ以外のシンガーはきっと全員、おおかれ少なかれアレサに憧れてます。笑

 

だから女性シンガーでソウル歌いたいってなると、やっぱりアレサに憧れると思うんですね。

絶対にさいしょに名前が出てきますし、あまりに唯一無二の神ですから。

だけど私のことでいえば、当時、ソウルのソの字ぐらいしか知らなかったんですね。

ちょっと前までJ-POPしか唄ったことがなかったわけで。

そんな小娘が急にアレサの曲きいたところで、とてもじゃないけど唄えないんですよ。笑

それでも、どうしてもソウルにお近づきになっていきたいと思ったとき、すがるように買ったのがこの本でした。

ライブ曲や練習曲としてアレサ以外の女性ソウルシンガーの曲を開拓していくとき、ほんとうに助けてもらいました。

 

今はYouTubeとかSporifyとかおすすめや関連で、勝手にすすめてくれるシステムもありますが。

本で読むと、その人の経歴もわかりますし、いいですよ。

 

私はこの本を買ってディオンヌ・ワーウィックとかパティ・オースティンとかを聴くようになりました。

そしてとにかく、次なにを歌おうか、練習しようか、と考えるときにまずこれひらく。

そこからたどって音を検索したりCDを試聴したり買ったり。みたいに使ってました。笑

あとはこれ見ながら色んなレディ・ソウル聴いていくと、音楽的・ボーカル的なアプローチの系図も見えてくるんですね。

たとえばディーバ系ならホイットニーとか、ダンス系ならジャネット、ガールズグループならTLCとかデスチャとかから派生していく。

じっさい本の中にもそういった説明や紹介もあります。

そういうのがわかると、自分なりに「自分のポジションはここだね」みたいな目標が見えてきたりしていい。

私たちは日本人だから、どうやっても彼女たちと同じようになることはできないし、逆にそれはそれで持ち味にして日本人としてソウルをやればいいと思うんですが。

でもイメージ力をたかくしていくことでしか、成長はないので。

夢はデッカクもつことがいいです。

そんなかんじで、レディ・ソウルを開拓していきたい女子の、一家に一冊。

 

わが心のジョージア レイチャールズ物語

とつぜんの名指し。笑

ソウル・ミュージックをつくった男、レイ・チャールズ。

ソウルが好きなら、レイ・チャールズを知ってください。

この人が、教会音楽だったゴスペルとジゴロ音楽だったブルースを融合して、ソウル・ミュージックという新しいジャンルを築きました。

ただ本人は、いたってまったくそんな気なく。

人種やハンデをさっそうと飛びこえて、やりたいことを楽しくやって生きていたというところが、なんともステキなんです。

わが心のジョージア。この人なしに、ソウルは語れないです。

 

レイ・チャールズをふくめたソウルR&BレジェンドBEST5はこちら。

不動のベスト5。敬愛するソウル・R&Bレジェンドたち。

書籍・R&B編

まずここでいうR&Bはかつでのリズム&ブルースではなく、近現代のR&Bのことです。

ソウルやヒップホップとくらべてもR&Bの歴史ついて深く書かれた本は、私の知るかぎりではあまりないように思います。

R&Bはまず「ソウル・ミュージックやブルースの進化系」というのが前提。

そしてHIP-HOPやJazzとも融合していて、それらの要素の中で、おもに歌がメインの電子音サウンドだとR&Bといえるかなと思いますが。

しかし時代の流れとともに、コレというジャンル分けがどんどんむずかしくなっていて、あまりこまかくこだわることには意味がありません。

 

そんなことなので、ソウル・ミュージックほど明確に「さいしょに誰が何を歌ったのがきっかけで・・・」みたいな、クッキリとした音楽的エピソードそのものが少ないんですね。

ソウルのようなジャンル全体としての大きなストーリーというよりは、それぞれのストーリーがあって色んなスターが次々と生まれて言ったという感じで。

ネオソウルとかガールズグループとか、ムーヴメントとしてはいくつかありますけど。

でもまぁ現代はもうジャンルレスであればあるほどカッコいいしオモシロイという時代なので、つくった本人の申告しだいということでいいのではと思います。笑

ということで、現代からさかのぼってR&Bを知りたいときは、アーティストに特化した本や名盤集がそのまま歴史にちかいかなと思います。

bounce book – R&B STANDARDS

R&Bの名盤本です。

今となってはわりと古いR&B本なので90年代〜2000年代前半を知りたいかたに合うと思います。

久保田利伸さんのインタビューが載っていて、そこにディアンジェロのことが語られているんですけど。

私はそれでディアンジェロと出会い、ズブズブとハマっていきました。。。っていう、そういう思い出の一冊。

本がカラーでアーティストの写真やアルバムカバーなどもたくさん載っています。

読みやすいし、わかりやすくて、R&Bアーティストってどんな人がいるのか?ざっくり知るにいいと思います。

 

新R&B入門 ディアンジェロでつながるソウル・ディスク・ガイド1995-2015

この本はけっこう冒険した本だったように思いました。

これを作ってる林さんや荘さんはめちゃくちゃR&Bに造詣が深いし、対談もおもしろいんですが。

アーティストや曲の選びかたが、どうもイマイチな気がします。

たぶん敢えて外しているんでしょうけど、R&Bをやるならゼッタイ外せない情報が載ってなかったりするので。

なので、下のマイケル本ふくめ、あくまでR&Bへの入り口のひとつすぎないと知っておいてもらいたいです。

「R&Bディスクガイド」と大きくとらえたら違和感あったりします。

 

まぁR&B自体がとても多義になっているので、本を作るとこうなっちゃうのかもしれませんがね。

それでも、ただ音楽テイストが似ているものの関連づけやグループ化だけでは、ちょっと物足りない気がします。

 

そもそもディアンジェロを中心にガイドを作るというのは、非常にたいへんな作業ですよ。笑

なぜならディアンジェロっていう人は、ソウルやR&B界のなかでも突き抜けたことをやった人だから。

ディアンジェロがやっていることは、本来偏ってるんですよ。

めちゃくちゃ偏ってる。

だから技法がディアンジェロっぽいってだけの人たちは、ディアンジェロの真似の範ちゅうをこえないことが多いんです。

音楽のクオリティとしてディアンジェロの二番煎じにとどまってるものが多くなる。

ディアンジェロがスゴすぎるから、その領域までいける人って少ないわけなんです。

そうすると「それならディアンジェロ聴けばいいじゃん」ってなる。

だからディアンジェロからつなげていって深い参考書つくるのって至難の業という気がします。

 

もし私がディアンジェロ中心にR&B本つくるなら、まずディアンジェロを一回解体したいですよね。

それでディアンジェロが影響を受けたアーティスト別とかにする。

プリンスとかスライとか。

そういったくくりで同時期に活躍した人たちとか集めてみる。

するとディアンジェロっぽさもありながら、違う土俵で勝負しているアーティストのくくりができる。

それは音楽的にとてもオモシロイ研究本になると思います。

R&Bっていうのは、ソウルと違って今はもう深く掘ってもコピーが出てくるだけ。

深みをだすにはどんどん横に広げることなんです。

 

と、大好きなディアンジェロだけにヘンに熱くなってしまいましたが笑。

R&Bディスクガイド自体がわりと少ないので、読んでみるのはいいと思います。

とくにR&Bまったく知らない人、ディアンジェロが好きな人には良いと思います。

 

知らない方のためにお伝えすると、ディアンジェロは音楽をやっている人たちにとっては神みたいな存在であることも多くて。

日本でも星野源さんやハマ・オカモトさん、清水翔太くんなど、ディアンジェロ好きはあとを絶ちません。

それでR&B好きなら分かるようになったほうがいいし、うまくいけば最初からシビれる。笑

だけどもしかしたら、ちょっと難解でわかりにくいと感じる人もいると思うんですね。

そういう場合は、この本でもうちょっと親しみ持てそうなアーティストとか聴いてみるとかアリです。

 

私のディアンジェロ敬愛ぶりについては、こちらの記事をご参照。

不動のベスト5。敬愛するソウル・R&Bレジェンドたち。

 

新R&B教室 マイケル・ジャクソンでつながる ソウル/ブギー・ディスク・ガイド1995-2016

マイケル・ジャクソンのことがあらゆる方向から語られていて、ポイントごと、アルバムごとに、影響をうけたアーティストや作品がズラリと紹介されています。

上のディアンジェロのところでも書いたんですが、こちらも若干、関連づけたアーティストの選択は厳しい。

 

だけど、マイケルのことは非常によくわかります。

マイケルが音楽やエンターテイメントの歴史上どれぐらいすごくて、業界やアーティストたちに影響をおよぼしたか。

とくに日本ではまだまだそれをちゃんと知らないかたは多いと思います。

私はマイケルがいなかったらきっと、オバマ大統領だって生まれなかったかもしれないと思ってます。

なにせ黒人ではじめてMTVにミュージックビデオを流した人ですから。

世界ではじめて、今では常套手段となった群舞をショーやMVにとり入れたアーティストですから。

 

整形やらネバーランドやら音楽以外ののエピソードがあまりに大きすぎちゃって、なかなか音楽に集中できてない。

そんな人は各コラムだけでもぜひ読んでほしい。

マイケルがもっともすばらしかったのは、ここに書かれているようなことなんですよって、知ってほしいです。

 

さて次、日本にR&Bを浸透させた立役者である松尾潔さんがかいた2冊のシリーズ本。

bmrという日本で唯一のブラック・ミュージックに特化した雑誌があったんですね。

今はもうなくなってしまってWEBだけになってしまったのですが。

そこで連載されていたコラムを編集して書籍化したものです。

 

いま日本でR&Bのことを知ろうとするなら、この2冊がもっとも愛があって詳しい本だと思います。

松尾潔のメロウな日々

 

松尾潔のメロウな季節

 

ちなみに連載はWEB上で続いていて、今もページはあります。更新は止まっているようですが・・・

松尾潔のメロウな日々。(bmr.jp)

 

松尾潔さんといえば、言わずとしれた日本のR&Bの敏腕プロデューサーです。

平井堅、CHEMISTRY、EXILE、JUJUなどなど、たくさんのヒット曲を生み出しているカリスマです。

ですがプロデューサーをやる前は長きにわたりライターをやっていらっしゃったんです。

bmrでの連載のほか、R&Bアーティストの多くのアルバムで日本語版ライナーノーツを書かれています。

そういったライター業の中で、非常に多くのアーティストを取材されている松尾さん。

取材やライブを見にいったエピソードを中心に、個人的なつきあいにいたるまで、アーティストごとにストーリーが書かれています。

 

松尾さんの本は、とにかく松尾さんの音楽への愛がつたわってきて、あたたかい気持ちになるんですよね。

もちろんアーティストや音楽について知ることのできるありがたい本でもあるんですが。

アーティストの人となりや内面をかいまみてジーンと感慨深くなることも多いです。

松尾さん自身が本当にR&Bが大好きなんだろうなって思うんですね。

そしてそれをやっている人たちを心から尊敬している。

だからアーティストたちに対して非常に愛ある分析をしてくれているんです。

 

と、こんなふうに言うとただR&Bを知るということから、すこし離れてしまうように思えるかもしれません。

ですが、人にも音楽にも歴史あり。

エピソードやストーリーがあってこそ、素晴らしい作品が生まれているわけです。

ですからそういうエピソードから音楽に入れば、好みの音楽に出あえる可能性は高いと思います。

それに松尾さんのあまりにも深い深い音楽愛にもとづいた分析を読んでいれば、その音楽をききたくてたまらなくなること請け合いです。

松尾潔さんの最新情報はツイッターで。

松尾潔(ツイッター)

DVD・ソウル/ブルース編

百聞は一見にしかず。本が苦手な人でも映像ならスルスル学べると思います。

あくまでお勉強用ということで、ドキュメンタリーやメイキング、実話に基づいたフィクションのみに絞り、ライブやパフォーマンスのDVDは省きました。

しかし実際おすすめライブDVDというのが、じつは皆さんが一番しりたいことかもしれませんね。笑

近いうちにご紹介できたらと思います。

Ray / レイ

 

レイ・チャールズの半生をつづったフィクション。

この映画でレイ役をつとめたジェイミー・フォックスがオスカーを受賞し、一躍スターダムをかけ上がりました。

今でも第一線で活躍する大御所クインシー・ジョーンズを見つけて引っ張ってきたのがレイだったということを、私はこの映画で知りました。

点と点で知っていた歴史がつながる瞬間というのは、ほんとうにゾクゾクします。

レイの自伝といえば、やはり上で紹介した本がおすすめなのですが。

この映画でおおまかなストーリーをつかんでから本にいくのもおすすめです。

We Are The World The Story Behind The Song – 20th Anniversary Special Edition

 

USA for Africa、アメリカからアフリカへ。

当時、アルバム制作でもタッグを組んでいたマイケル・ジャクソンとクインシー、そしてライオネル・リッチー。

この3人が中心となって制作されたアフリカ難民のためのチャリティーソング、We Are The World。

この曲を知っているひとは多いと思うのですが。

その制作ドキュメンタリーです。

 

じつはこのドキュメンタリー、リアルタイムのころに見たんですね。

小学生だったんですが、母が英語教師だったので、教材として家においてあったんです。

ネットもなかった当時、母はどうやってそのビデオを買ったのか?

その情報をどこから入手したのかすら不明ですが。笑

とにかくそのビデオを勝手にみて感動しまくりました。

そして何度も何度もくりかえして見たのを思い出します。

 

まず、これを英語教育の教材にえらんだ母のセンスがナイスすぎる。笑

そしてあの多感な時期にこのビデオを見たことは、のちの自分の音楽性に大きな影響をおよぼしたかもとも思います。

母は音楽にも洋楽にもうといんですが、不思議なことです。

だけどやっぱり、感謝ですね。

 

このドキュメンタリーが良いのは、やはり当時活躍していたアーティストとその音楽性を一気にたくさん知られること。

主催のマイケルやクインシーが黒人であることから、参加アーティストの多くがソウル・ミュージシャンです。

そしてもうひとつ、彼らはなぜ、アフリカのために歌ったのか?

アフリカの飢餓について、彼らはなぜ、ケアしたかったのか?

それはやはり自分たちのルーツがアフリカにあるからですよね。

アメリカにいる黒人たちは、もともとアフリカから奴隷として連れてこられた黒人たちが祖先ですから。

そういう歴史のめぐりを感じながらも、ただただ素晴らしい音楽を堪能してほしいです。

ソウル・ミュージックの歴史を知るうえで、外せない映像だと思います。

 

そして個人的にこのドキュメンタリーで一番好きなシーン。

それは、、、マイケルがスタジオに遊びにきている子供と一緒に躍ってるとこ。笑

誰の子供かわからないんですが。

スタジオに鳴ってる音にあわせて子供といっしょにおどるマイケル、死ぬほどカッコいいです。

マニアックですみませんが、ぜひ見逃さずチェックしてください。

 

スティービー・ワンダー メイキングオブキーオブライフ

 

スティービー・ワンダーのキーオブライフというソウル・ミュージックの歴史にかがやく名盤があります。

その発売から20周年を記念してつくられたドキュメンタリーDVDです。

当時の制作エピソードについてスティーヴィーや関係者がインタビューにこたえたり、当時の映像をふりかえったりします。

 

ちなみにこの「キー・オブ・ライフ」というアルバムは、ソウル・ミュージックをやるなら絶対に知っておかないといけないもの。

現代においてソウル・ミュージックと呼ばれている音やリズムパターンの多くが、このアルバムから生まれました。

というかアルバムを聴いたら驚きますよ。

おそらくほどんとの曲を知っているハズです。笑

それだけメジャーになっている曲が多く、ですがこれをアルバムであらためて聴くと、そのエネルギーがすごいです。

 

私もリアルタイムでアルバム聞いた年代ではありませんので、アルバム聴いたときは驚きました。

ただただ「ていうか有名な曲だらけだな!」という印象で。

でもそれってよくよく考えると発売された当時はすごいインパクトだったハズなんですね。

そういった当時の時代背景については、このドキュメンタリーが発売してくれたことで知ることができました。

とにかくこのアルバムがでたころのスティーヴィーは、すごい勢いだったんですね。

もう時代の寵児だった。人気絶頂。

まぁこんな天才だから当たり前なんですけど。

どれぐらい天才なのかということが、よくわかる映像ばかりです。

 

このDVDもうプレミアついちゃってますね。

新品でも安く買いたい人は輸入盤とかもアリだと思います。

英語の勉強にもなりますよ。

輸入盤だとリージョン1のDVDプレーヤーが必要になります。

ですがパソコンのDVDドライブのリージョンを一時的に変えるっていう手もありますので。

 

個人的にはこのアルバムで一番好きな曲がLiving for the cityなので、この曲のエピソードが好きですね。

詳しくは、ぜひご覧になってくださいませ。

 

ドリームガールズ

 

ビヨンセとジェイミー・フォックスがそれぞれ、ダイアナ・ロスとベリー・ゴーディ・ジュニアをモデルとした役を演じています。

注:あくまでモデルとなっているだけで、そのままの役ということではありません。

ソウル・ミュージックを語るうえで欠かせない、モータウンというレコード会社があります。

スティービーワンダーやマーヴィン・ゲイ、ダイアナ・ロス、マイケル・ジャクソンが子供時代に所属したジャクソン5などなど。

当時の有名になった黒人アーティストが多く所属していたれコード会社です。

そんなモータウンは、社長のベリー・ゴーディがとてもやり手で伝説となっています。

というのは、モータウンはソウル・ミュージックを黒人音楽からポップ・ミュージックに昇華させたんですね。

従来より聴きやすくポップなサウンドとパフォーマンスにして売り出し、その発展に大きく貢献しました。

 

アメリカの人口のほとんどは白人やヒスパニック系が占めているんです。

黒人はわずか数パーセント。

しかも当時はまだまだ黒人差別がのこっているという時代。

黒人の音楽というだけでソウル・ミュージックを敬遠する白人たちも多かった。

だけどベリー・ゴーディは、黒人音楽をよりひろく浸透させるためには、白人層をより多くとりこむことが絶対に必要だと感じていたんですね。

 

が、その裏で、どんなことが起こっていたか。

白人に聴いてもらうためには、音楽性を変える必要もあった。

白人たちが気分を害すようなことのない黒人でいなければならなかった。

白人たちが気に入るような黒人として振る舞う。

 

そうやってビジネスは大成功していくんです。

だけど次に何が起こるか。

黒人として、アイデンティティ・クライシスみたいなことが起きてくる。

同時にベリー・ゴーディの方針にしたがうのか、個人としてのポリシーを貫くのかという点でも葛藤が起きる。

グループの中でもいざこざが起きてくる。

地位や名声をとるか、魂をとるか。

調和をとるか、個人の夢をとるか。

純粋に音楽をやりたかっただけなのに、そのために音楽でない問題にどんどん邪魔されてしまう。

 

まぁそういったソウル・ミュージックを通した黒人たちの台頭と葛藤みたいなものが描かれています。

時代背景としては、ベトナム戦争が起こっていたころです。

マーヴィン・ゲイがWhat’s Going Onで反戦を訴えて社会的なメッセージを音楽にこめるということが起こりはじめたころです。

そこらへんはおさえておくと、見やすいです。

 

ベリー・ゴーディっていつも賛否両論なんですけどね。

黒人音楽を白人に広めた人でもあるけれど、白人に魂を売ったオトコみたいにいわれることもあります。

 

だけどやっぱりベリーがいなければソウル・ミュージックがここまで世界にひろまることはなかったと思います。

彼が考え実行してきたことは間違ってはいなかったと思うんです。

多くの人に聴いてもらってレコードが売れなければ、活動を存続していけないですし。

このころのソウル・ミュージックはほんとに一筋縄ではいかなかったという時代ですが。

だからこそ、たくさんのストーリーがあるのですよね。

 

それから、やっと映画の話をしますが笑、ビヨンセの息を呑む美しさにも注目。

ビヨンセはこの役をどうしてもやりたくて、オーディション用のデモ映像をみずから撮って送ったんだそう。

特典のドキュメンタリーもおもしろいです。

ちなみにこの映画がジェニファー・ハドソンのデビュー作になります。

この映画でビヨンセがうたった「Listen」もヒットしていて、今では多くの人がカバーしたりオーディションで歌ったりしてます。

 

キャデラック・レコード

 

またビヨンセ。

こちらはプロデュースもやってます。

シカゴのレコード会社チェス・レコードとそこに所属した伝説のシンガー エタ・ジェイムズの物語。

この人は女性シンガーの中ではすごい有名な人だから、知っておくとオモシロイです。

ちょっと強烈なキャラだし、万民うけはしないのかもしれないけど。

ちなみにオバマ大統領の就任セレモニーでビヨンセが歌った「At Last」はエタの曲。


ということで、以上です。

 

当然のことながら、アーティストのライブDVDやインタビュー動画などはここに含みませんでした。

それを含むと無限大に膨らんでしまうので・・・。

 

今回は座学系というか、純粋に知識を増やすための勉強につかえそうな本とDVDを紹介しました。

 

なんか色々大変だな、と思った人たちは、ちょっと考え直してめぐまれた現在の環境を知ってください。

特にソウル・ミュージックが好きだった松尾潔さんのような世代の人たち。

彼らは輸入レコード屋さんでレコード買って、英語のライナーノーツを読んで、勉強したわけです。

そう考えると、私たちは色んな本やネットの情報もあって、すごくすごく楽チンに学べるのです。

 

そんな感じで、皆さんもぜひ素晴らしいソウルやR&Bの歴史に触れてみてくださいませ。