ジブリ解散後、2017年再始動で鈴木敏夫さんが送った案内状がすごい。

ジブリ解散後、2017年再始動で鈴木敏夫さんが送った案内状がすごい。

最近になって知ったこと。

宮崎駿さんが、長編に復活してジブリ再始動となったとき、鈴木さんが関係者に出した案内状というものがある。

ちょうど宮崎さんのNHKドキュメンタリーが公開された、2017年11月あたりのこと。

宮崎駿、冷めない長編への情熱(Chic Life)

で、その案内状。どんなだったかっていうと・・・

ジブリ再始動 鈴木敏夫さんの案内状

全文はこちら。

石川力夫という人の辞世の句。

大笑い 三十年の馬鹿騒ぎ

宮崎駿が引退を表明したとき、この句が浮かんだ。ジブリを始めて、ちょうどそのくらいになる。この機に、ジブリもやめてしまおうか、ふとそう考えた。元を正せば、宮崎アニメを作るために作ったスタジオだ。しかし、その後、いろいろ分かって来た。そう簡単じゃない。始めたモノを閉じるのは難しい。

第一に、ジブリで働く人たちのことをどうするのか。これがいちばんの難題だった。いきなり辞める! と叫ぶのは自分勝手で、彼らに対して無責任きわまりない。

そうだ、こういうときは後継者を見つければいい。そして、その人に責任を押しつければいい。それで問題解決だ。などと考えていたら、あろうことか、宮崎駿が引退を撤回すると言い出した。

もうやり尽くした。精も根も尽き果てた。だから、やめる。それが引退表明の理由だった。そりゃ、そうだろう。そんな宮さんをぼくは間近で四十年も見てきた。その過酷な日々を。ゆえに、説得力があった。そして、ジブリは制作部門を解散した。それが、たった、たったの二年で、心が変わった。

おい、おい、そりゃあ無いぜ~と思ったが、すでに時遅し。二十分ぶんの絵コンテを用意したので、それを見て欲しい。これまでにない真剣な表情で、そう言われた。

「面白く無かったら、率直にそう言って欲しい。そしたら諦める」

判断は、すべてぼくに任せるというのだ。言い方は丁寧だし謙虚だったが、よくよく考えれば、これは恫喝というか脅しというか。端から、ぼくがそういわないことを見越した発言だった。

嗚呼、無情! ぼくは、いったいどうすればいいのか。

秘かに夢見たぼくの“幸せな老後”は、いったい、どこへ行ってしまうのか。

名監督が老人になって、失敗作を作る。多くの監督たちが、その轍を踏んできた。そうなって欲しくない。だから、ぼくは宮さんの“引退表明”を前向きに受け止めた。おそるおそる絵コンテに目を通す。不安と期待が交錯する。しかし、気がつくとぼくは、その絵コンテが繰り広げる世界に夢中になっていた。

「やりますか」

宮さんに、ぼくはそう告げた。宮さんの表情に赤味が差した。

タイトルは「君たちはどう生きるか」。内容は、タイトルとは随分と印象が違う。大ファンタジーだ。内容を読んで、ぼくには宮さんが引退を撤回する理由がよくわかった。「風立ちぬ」では終われない。宮さんの面目躍如は、やはり“冒険活劇ファンタジー”だった。

そうと決まったら、ジブリを閉じる準備などしていられない。ぼくは、ジブリの構造改革に手をつけた。

現在、ジブリは長編を2本、同時に手掛けている。もう1本は、宮さんの息子、吾朗君が監督だ。宮さんは、従来の手法、手描きで作り、一方、吾朗君はCGで作る。さらに、宮さんと話して、その次を企画中だ。

ジブリは映画を作り続ける。それがジブリの本道だ。やり続けるしかない。ダメになる日まで。ぼくは、そう覚悟した。ぼくは、人事にも手をつけた。

歳月は人を待たず。星野社長もジブリの社長をすでに十年、ジブリ美術館の中島館長に至っては館長を十二年半続けていた。自ずと組織も硬直化していた。そこで、星野さんに会長に、中島君には新社長に就任して貰うことになった。中島君の後釜は、これが今回の目玉人事、初の女性館長、安西香月さんに決まった。

さらに、ぼくの生まれた地、名古屋でジブリパークを作ることも決まった。

ジブリ再始動! ジブリに新しい風が吹いた。この新しい人事は、ぼくらの想像を超えて、社内に活気をもたらした。そして、スタッフが元気になった。

最後に、この場を借りて、ジブリの主要メンバーの年齢を記しておきたい。

高畑 勲  82歳     中島清文  54歳

宮崎 駿  76歳     安西香月  52歳

鈴木敏夫  69歳     宮崎吾朗  50歳

星野康二  61歳

二〇一七年十一月二十八日

スタジオジブリ
代表取締役プロデューサー
鈴木 敏夫

引用元:スタジオジブリの新社長就任の案内状を(なぜか電ファミで)特別に公開! 鈴木敏夫氏に見る“一流のプロデューサー”たるゆえん(電ファミニコゲーマー)

実際の文書こちら。

引用元:スタジオジブリの新社長就任の案内状を(なぜか電ファミで)特別に公開! 鈴木敏夫氏に見る“一流のプロデューサー”たるゆえん(電ファミニコゲーマー)

 

ああーーーーーーーーー。

なんて素晴らしいの。

これはもう、ただの挨拶文なんかではなくて、小説というかエッセイというか完全なる読み物になっていて。

まるでそこに、鈴木さんがいて話しかけてくれているかのように、鈴木さんが語るそのストーリーに完全に引き込まれる。

鈴木さんや宮崎さんの心情や2人のやりとりも、ありありと目に浮かぶほどリアルに、そして実に楽しげに伝えられている。

感動。

そしてそして。

鈴木さんと宮崎さんのこの最高のパートナーシップ!!!

これだからジブリファンはやめられない。(T_T)

エンターテイメントがすごすぎる。

どんなときも、徹底して、どんな側面でも、妥協することなくとことんまでに楽しませてくれる。

それは私たち一般人に、見えている部分だけではないのだ。

一緒に仕事をする関係者に対しても、いかんなく発揮されるわけなのだ。

そしてみんなが、楽しく仕事をしてハッピーになる。

どんだけ素敵なのか。

あらためて、鈴木さんの凄さと素敵さを知ってしまった!

ドワンゴとジブリの深い仲

さてさて、この案内状をジブリから許可をえて公開している引用元の電ファミニコゲーマー。

引用元リンクの記事にあるように先日ご紹介した「熱風」についてのインタビューもおこなっているメディア。

ジブリ月刊誌「熱風」2018年6月号 追悼 高畑勲

電ファミニコゲーマーは、要するにドワンゴのメディアなんですが。(ニコ動の会社。見るに明らかだけどね)

ジブリとドワンゴは、じつはとってもゆかりが深いのですよ。

というのは、ドワンゴの元社長の川上さんはスタジオジブリの社員で見習いプロデューサーをやっている(た?)のです。

冒頭で紹介した昨年の宮崎駿NHKドキュメンタリーでも、川上さんがこっぴどく怒られていたのが記憶に新しい・・・笑

※ちなみにその後は平穏だったらしい。

とにかく、詳しいきっかけは知らないけど、鈴木さんの「ジブリ汗まみれ」によく出ているし、鈴木さんがきっかけなんでしょう。(追記:詳細は下にリンクしました)

何が言いたいって。

この案内状の公開についても、記事タイトルには「なぜか電ファミで」と書いてはありますが、特別に許可をもらえているのはもともと関係があってのことなんだと思います。

ジブリや鈴木さんにとっては「熱風」の紹介をしてもらえるということが、あったのでしょうか。

何がどういうきっかけで、どういうプロセスでこうなったのかは、わかりませんが。

とにかく鈴木さんの仕事ぶり。

人と人とが、色んなカタチでつながって、お互いに、最強にWin-Winになる。

これもう定番であり私がもっともジブリと鈴木さんを愛する理由。

それをまた、堪能し、尊敬し見習いたいと思う今。なのでした。

きっかけは「ジブリ汗まみれ」の亀渕昭信さん対談

さてこの案内状。

そもそも私は、どうやって知ったのか?

公開されているとはいえ、もともとは関係者だけに送られたものなわけで、検索でヒットして偶然見つけたということでもなかったのです。

じつは、鈴木さんのラジオ「ジブリ汗まみれ」にニッポン放送元社長の亀渕昭信さんが出演されたときに、亀渕さんが紹介してくださったのです。

鈴木さんとの対談の最後に、亀渕さんがこれを朗読してくださって。

それがまた、アナウンサーだけあって、朗読が超なめらかでありながら、全然わざとらしくなく、だけど程よい抑揚もほどよくあって、ほんっっとうに素晴らしい!!!

感動ひとしおだったので、そちらもぜひ聴いてくださいまし。

2018/03/11 亀渕昭信さんを迎え『ぼくたちはどう働いてきたのか』(Podcast)

ドワンゴ川上量生さんジブリ入社関連のインタビュー

上に書いた、ドワンゴの川上量生さんがジブリに入社したいきさつと、ジブリについて詳しく語り分析してくれている記事がありました。

 

ジブリは決して続編を作らない有名ゲームスタジオのようなもの――スタジオジブリに入社したドワンゴの川上量生氏が見た,国内最高峰のコンテンツ制作の現場とは

川上量生氏 といえば,あのニコニコ動画を運営するドワンゴ(正確には,運営は子会社のニワンゴ)の代表取締役会長として知られる人物である。 以前, 4Gamerでもインタビュー をしたことがある同氏だが,その明瞭かつ論理的な思考力と,どこか捉えどころのない考え方は非常にユニーク。「なるほど。この人にして,ニコニコ動画あり」と思わせるほど,その発想は独創的だ。 …

これ、、、めちゃくちゃオモシロイ!

ジブリのマーケティングについて私が研究していることを、きわめて賢い頭で整理してくださっている。

超勉強になる!!!!

また時間あるときに、詳しくフィーチャーできればと思います!

ちなみに、私がジブリから学びたいことはこちら。

ジブリから何を学ぶ?3つの側面(Chic Life)

 

というわけで、鈴木さんの素晴らしいジブリ再始動の案内状と、鈴木さんの相変わらずの素晴らしい仕事っぷりでした!