R&B史上に燦然と輝くマスターピース。
The Diary of Alicia Keys ダイアリー・オブ・アリシア・キーズ
R&B史に燦然と輝くマスターピース
2000年代R&Bの代表作といえばコレ。これなしには、何も語れない。
私にとっては、本格的にR&Bシンガーをめざすきっかけになった大切な1枚でもある。
前作よりぐっとパーソナルでサウンドも明るく温かくなったセカンド。「高い音を意識して唄った」という変化へのチャレンジもあったそう。
ピアノの音はどこまでも優しくて懐かしいのに全体のサウンド感はめちゃくちゃヒップホップ。だけど、シンプルにソウルだし、ちゃんとポップで聴きやすい。
どうなってんの。って、今聴いても思えるレベル。
彼女はこのアルバムで前作Songs In A Minorに引き続きグラミー賞を受賞し、文字どおり、一流アーティストとしてのちいを確立した。
そして今聴いても、やっぱり感動する。それが名盤というものですな。
If I Ain’t Got You
もはやクラシックとなった名曲。
ピアノのイントロのフレーズと、王道ながら文句のつけようのない、切なくもソウルフルなサビのメロディ。
全体にただようオールドソウルの安心感と、かいま見えるジャズのフレイバー。そしてそれを歌う、若く才能ある絶世の美女、アリシア・キーズ。
今でこそ「ザ・ヴォイス」でコーチなどもやり、結婚して子供もできて、SNSでも色んな発信をつづけていて、ややフレンドリーになった気がするが、このころのアリシアに漂うカリスマ性は本当にハンパなかった。
きっと彼女の中にあったとてつもない音楽への愛やこだわり、そして音楽として生きていく覚悟みたいなものが出ていたのだと思う。
そんな中で生まれたこの名曲は、すでに高い評価を得ていたアリシア・キーズを不動の存在にした。
今でも多くの人たちに愛される名曲。私も相当お世話になったし、まだまだこれからもめちゃくちゃお世話になるだろうと思います。笑
個人的に、彼女がUpluggedライブでこれを歌う前にいったMCが忘れられない。(あとで追加予定)
最近のライブ映像を見ると、アリシアのこの歌へのアプローチ本人のこの曲へのアプローチもずいぶん変わっている。
もうそれこそ、何十回、何百回と歌ってるんだから、自分も飽きちゃダメだし、その曲の良さをどんどん、どんどん、引き出していくというのが、大切なのだと感じる。
ちゃんと時代ごとの音楽性も反映されているし、ほんとうに進化し続けているなぁと感動する。
本当のところ、彼女の本当のすごさはこの後にわかる。
これだけの名曲を生み出し、歴史を刻んだにもかかわらず、その後まったく違うタイプの曲で「何曲も」ヒットを出しているのだ。
そしてきっと、これからもずっと、しなやかに、彼女は歴史を刻み続ける。
You Don’t Know My Name
この曲じつはカニエ・ウェストがプロデュースなのですよねぇ。さすがヒップホップをポップにクラシカルに聴かせる男だわ。
全体的に、まったく気張りすぎてなくてナチュラルだし、ほどよくフロウしてるんだけど、アリシアのボーカルがやっぱり存在感あるし、しっかり聴きどころがある。
Aメロでババーっとシャウトして勢いよく行って、サビはストンと落とすという構成とか、途中にアリシアの語りが入ってくる感じとか、とにかくちょっと緩めた感じで楽に聴けるのに、名曲感がハンパないという意味で、当時のソウルのあり方として新しい風だった。